気まぐれなアイドル





中編




異国の空港で一人がほたえてから半日後のことだった。

その日、天国は家から少し離れた大手の本屋に訪れていた。
(一応)変装用の眼鏡をかけていたので、特に問題はなかった…はずだが。

分厚い洋書を立ち読んでいる知的な美少年が眼に入らないわけはなかった。

そんなわけで勇気ある女子高生の一グループが天国に声をかけた。

「あの〜…もしかして。」
「へ。」
「あ!やっぱり…!」

(やば!)
どうやら早速バレたらしい。

即効でごまかす方法を思案しかける。
が、そのとき。


「おー。こんなとこにいたのか?」
「!」

突然聞いたことのある声が別方向から耳に入る。

その方向を天国が向くと、そこに居たのは。

「御柳…?!」
「よ、久々。」


華武高校1年、御柳芭唐だった。
そういえばこの辺は華武高校の近くだっけ、となんとなしに思い出す。

「あ、ご…ごめんなさい!」

「え?あ。」

どうやらなけなしの勇気を振り絞っていたらしい女子高生は、予想外の展開に耐えられなかったのか
その場を立ち去っていった。


「行ったぜ。」
「…悪い、助かった。」
御柳が自分を助けてくれたのはよく分かったので、天国は素直に礼を言った。

「で、お前こんなとこで何してんの?」
「あ?ああ。本探しだよ。ここの本屋品揃えいいからな。」

「ふーん…。」
そう言われて、御柳は天国が手に取っている本とそのコーナーに眼を向ける。
どッからどう見ても英語が立ち並ぶ洋書コーナーである。


「お前えーごとか読めるんだ…。」
素直に感嘆の声を上げた。

すると。

「愚問気〜〜┐(-。-)┌。」
「世界を股にかけてるモデル相手に何言ってるんだ、お前は。」
呆れたような声を出しながら、二人の男子高校生が本棚の影から姿を見せる。

「…先輩方、何の御用ですか?」
ちっ、と顔で舌打ち(どんな日本語だ)する御柳を無視して天国の傍に来たのは
華武高校2年の朱牡丹録と同3年の帥仙刃六だった。

「久しぶりだな、猿野。」
「あ、ども。」
「無視かよ!」
「うるさ気だぞこの抜け駆け男( ̄- ̄)θ☆( ++)」

「本探しって、どんなのを読んでるんだ?」
「ミステリーっすよ。海外のも結構面白いんで。」

質問に答えていると朱牡丹と御柳がマジマジと自分の顔を眺めているのに気づいた。

「何だよ?」

「いや、お前眼鏡似合うなと思ってよ。」
「うん。何か綺麗にハマってるって感じ気(个_个)」

「そっか?」
天国は知的な笑みを浮かべる。


その笑顔は3人の純粋な(?)男子高校生の胸にクリティカルヒットを食らわせた。

「…お前、計算じゃないだろうな?」
帥仙が赤くなった顔をごまかすように俯きながら文句を言った。

「何のことっすか?」

「や、なんでもねーよ。」


「…ところでさ、なー猿野。」
「ん?何だよ。」
3人そろって照れてからしばらくして、御柳が思い出したように言った。


「英語教えてくれね?」
「英語?ああ、いいぜ。いつにする?」


二言でなんかえらいことが決まっていた。



「「!!」」



それに気づくまで、1分ほどかかったことは…言うまでもない、と思う。




#######

「さ、あと数時間で東京よ。」

「Mrs.沢松、このあとアマクニの住むサイタマまではどれくらいなんですか?」

「車で少しよ。…でももう日本は夜だから今日はホテルに泊まって、明日にしましょう。」

「…分かりました。」

「息子には電話しておくからね。」




さて、一騒動まであとすこし。




                                  To be Continued…

 久々に続編です!遅れまくって本当に申し訳ありません!
 とりあえず他校生を出す口実作りに中編にさせていただきました。

 やっと最後に全員が会います。
 楽しい騒動に出来るよう頑張りますね。

 夜魅様、もう少々お待ちくださいませ。
 本当にすみません!!


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